沿革・コレクション

アメリカから贈られてきた20世紀前半の子どもの本 ─ベル・コレクション調査報告─

三宅 興子(イギリス児童文学研究者、梅花女子大学名誉教授)

目次

1.はじめに

 2015年の秋、初めて「ベル・コレクション」の調査をしたとき、1949年製のタイムカプセルを開いているような感じを強く受けた。そこにあったのは、アメリカ合衆国の家庭で眠っていた本、身近で読まれていた本、教師のお話の種本、読書指導の参考書、児童百科事典など、実に多様な本であった。一番古いのは、ナサニエル・ホーソン作『七破風の屋敷』(初版1851)の1865年版で、英語以外のものは、ドイツ語の『もじゃもじゃペーター』(出版年不明)などを例外として殆ど含まれていなかった。

 アメリカ国内と広島を視察したことのあるアメリカ人が心を合わせて、原爆投下によって焦土となった広島の「子どもに本を贈ろう」と考えた根底には、本を通して、子どもの明るい未来、平和への希求、文化の継承などへのさまざまな思いが込められていたようである。誰かが組織的に「よい本」を選んだのではない、贈った人のさまざまな思いを形にした「多様な本」であるのが、このコレクションの最も大きな魅力である。

 ( 以下の報告は、最初の寄贈本1,513冊のなかの現存本をもとにしている。但し、例外的に、それ以後に寄贈されたもので出版年が1949年以前のものが含まれている。)

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