若杉慧 -『エデンの海』から『野の仏』まで-

はじめに

はじめに

 若杉慧(わかすぎ けい)は、広島市安佐南区出身で、青春小説や石仏随想などで活躍した作家です。昭和17年発表の「微塵世界」、翌年発表の「淡墨」は、いずれも芥川賞候補となり、代表作の『エデンの海』は青年教師と女生徒のさわやかな恋愛物語で、終戦直後の沈んだ世相の中で一躍人気を博し3度も映画化されています。

 当館では、広島にゆかりの深い文学者の資料を集めた広島文学資料室の対象作家の一人として、資料収集に努めるなか、平成14年にご遺族の若杉五馬氏から若杉慧氏の関連資料約1万点をご寄贈いただき、資料目録の発行や展示会を開催いたしましたが、この膨大なコレクションのさらなる活用を目指し、この度ホームページにてあらためてご紹介することといたしました。

 青春文学の代表作とされる『エデンの海』と、自ら撮影した石仏の写真と随想からなる『野の仏』を軸とした若杉文学の世界を、作家の足跡とともにお楽しみいただけましたら幸いです。

平成24(2012)年3月 広島市立中央図書館

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