タイトル
04.民喜の作品紹介
 原民喜の作品をいくつかご紹介します。

1.夏の花
2.
3.ガリバー旅行記
4.心願の国
5.鎮魂歌
6.永遠のみどり
7.苦しく美しき夏
8.秋日記
9.美しき死の岸に
10.三田文学


4.心願の国

「夏の花・心願の国」
「夏の花・心願の国」
原民喜 著 
新潮文庫 1973年刊
昭和26.5 群像5月号。  
 凝縮された短い文章で、亡き妻や家族への愛情を叙情的に回想し、同時に死への憧れを綴る。小鳥・踏切・雪などの描写を通して、自分にとって何より自然なのは、静かに別の世界へ行くことだと告げている。
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 僕は今しきりに夢みる、真昼の麦畑から飛びたって、青く焦げる大空に舞いのぼる雲雀の姿を・・・。(あれは死んだお前だろうか、それとも僕のイメージだろうか)雲雀は高く高く一直線にただ生命の燃焼がパッと光を放ち、既に生物の限界を脱して、雲雀は一つの流星となっているのだ。(あれは僕ではない。だが、僕の心願の姿にちがいない。一つの生涯がみごとに燃焼し、すべての刹那が美しく充実していたなら・・・。)
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5.鎮魂歌

「焔」
「夏の花・鎮魂歌」
原民喜 著
講談社文庫 1973年刊
昭和24.8月号 「群像」発表。
 時代・場所・語り手をさまざまに変えながら、「あの惨劇」や「夢」を描写。繰り返し現れる「自分のために生きるな、死んだ人たちの嘆きのためだけに生きよ。」という一節は、作者の祈りであり、叫びである。
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「僕は堪えよ、静けさに堪えよ。幻に堪えよ。生の深みに堪えよ。堪えて堪えて堪えてゆくことに堪えよ。一つの嘆きに堪えよ。無数の嘆きに堪えよ。嘆きよ、嘆きよ、僕をつらぬけ。還るところを失った僕をつらぬけ。突き離された世界の僕をつらぬけ。  明日、太陽は再びのぼり花々は地に咲きあふれ、明日、小鳥たちは晴れやかに囀るだろう。地よ、地よ、つねに美しく感動に満ちあふれよ。明日、僕は感動をもってそこを通りすぎるだろう。

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6.永遠のみどり

「原民喜のガリバー旅行記」
「永遠のみどり」
原民喜 自筆原稿   
全37枚の1枚目  当館整理No.903
昭和26.7月号「三田文学」発表。
 郷里広島を訪れる主人公が、原爆前後の出来事や妻との日々を、静かに思い返す。復興途上の故郷から「死と焔の記憶」は拭えなかったが、東京へ帰った彼は、U嬢の濃い緑色のドレスを見て、季節の美しさや少年時代の広島の五月の空を思い起こす。
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とおうい とおうい あまぎりいいす  朝がふたたび みどり色にそまり  ふくらんでゆく蕾のぐらすに  やさしげな予感がうつってはいないか  少年の胸には 朝ごとに窓 窓がひらかれた  その窓からのぞいている 遠い私よ

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