中国新聞「子どもたちへ本の招待状」
(2022年10月)に掲載された本の紹介

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こども図書館
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お知らせ
公開日
2022年11月16日

こども図書館職員が中国新聞「子どもたちへ本の招待状」(2022年10月)で紹介した本をまとめました。
本選びの参考にいかがですか?

2022年10月3日掲載(対象:中学生以上向け)

『天才ルーシーの計算ちがい』
ステイシー・マカナルティ 著 田中 奈津子 訳(講談社)

12歳のルーシーは、8歳のとき、雷に打たれたことが原因で数学の天才になります。1度見たり聞いたりした数字は全て記憶し、円周率も314桁暗唱できます。

しかし、頭の中が数字であふれ、潔癖症にもなりました。そのため、人とコミュニケーションを取るのが苦手で友達がいません。ルーシーは大学の授業を受けることを望みますが、おばあちゃんはその前に1年間中学校へ通い友達を1人つくる、何かの活動を一つする、経済や数学以外の本を1冊読むように言います。

どんな数学の問題も解いてしまう天才少女が友達づくりやグループ活動といった難問に挑みます。

2022年10月10日掲載(対象:小学校低学年以上向け)

『メアリー・スミス』
アンドレア・ユーレン 作 千葉 茂樹 訳(光村教育図書)

毎朝同じ時間に起きるのは、なかなか大変だと思います。では、まだ目覚まし時計があまり普及していなかった頃の人たちは、どのようにして起きていたのでしょう。

メアリー・スミスは、夜明け前のまだみんなが眠りについている時間に、しわしわの堅い豆を持って出かけます。そして、豆をチューブにこめると、家の窓に向かって「プッ!」とひと吹き。カチンと当たると、住人が起きてきて窓から顔をのぞかせます。

このように、昔イギリスでは、頼まれた時間に寝ている人を起こして回る仕事がありました。実在した人物、メアリー・スミスを紹介する絵本です。

2022年10月17日掲載(対象:小学校中学年以上向け)

『天才コオロギ ニューヨークへ』
ジョージ・セルデン 作 ガース・ウイリアムズ 絵 吉田 新一 訳(あすなろ書房)

秋が深まり、いろいろな虫の音を耳にしますね。ある土曜日、ニューヨークの地下鉄駅にある新聞売り場で、少年マリオは不思議な音を聞きます。

かすかな美しいその音は、コオロギのチェスターが奏でるものでした。気付かないうち、電車に乗せられて都会へ来てしまったチェスターは、マリオの売店で飼われることに。

駅に住むネズミやネコとも友達になり、一緒にラジオを聞いていたとき、チェスターの持つすごい才能が明らかになります。

チェスターは、1度聞いた曲はすべて覚え、オペラでも交響曲でもポップスでも、何でも演奏することができたのです。

2022年10月24日掲載(対象:小学校高学年以上向け)

『歴史ごはん』
(くもん出版)

今、日本では世界中の食べ物を口にすることができます。では、昔の人々はどんな物を食べていたのでしょうか。

この本では、天皇に献上された乳製品「蘇(そ)」、清少納言が食べたスイーツ「唐果子(からくだもの)」、上杉謙信が食べた携行食「兵糧丸(ひょうろうがん)」など、縄文から大正時代までの人々が食べたとされる食べ物を、その時代背景や食文化とともに紹介しています。

また、現代の材料や道具を使った再現レシピもあり、歴史が好きな人や食に興味のある人も楽しめます。気になる料理やお菓子を作って、その当時に思いをはせてみてください。

2022年10月31日掲載(対象:中学生以上向け)

『希望の図書館』
リサ・クライン・ランサム 作 松浦 直美 訳(ポプラ社)

1940年代の米国。黒人の少年ラングストンは母を亡くし、父とともに南部アラバマからシカゴへ移ってきました。

慣れない土地で母親のいない寂しさや学校でのいじめに耐える日々ですが、偶然見つけた図書館は誰でも自由に本を借りられると知って驚きます。差別が残る故郷の図書館では、黒人は入ることが許されなかったからです。

そこで彼は、自分と同じ名前の詩人ラングストン・ヒューズの本に出合い、夢中になります。やがて、本を通じて周りの人たちとの関係も変化していき...。

読書の秋、あなたにも心に寄り添う本との出合いがありますように。