
こども図書館職員が中国新聞「子どもたちへ本の招待状」(2025年10月)で紹介した本です。
本選びの参考にいかがですか?
『ぼくんちのねこのはなし』
いとう みく 作 祖敷 大輔 絵(くもん出版)
小学4年生の一真(かずま)は、16歳のおじいちゃん猫「ことら」のことが心配です。少し前までは机の上に飛び乗ったり床を走り回ったりしていたのに、今は好物の餌もあまり食べず寝てばかり。病院に連れていくと、治らない病気と診断されます。高額な費用のかかる延命処置ではなく、緩和ケアを希望する母に一真は疑問を抱きますが、家族で話し合い、「ことら」の負担を減らすために自宅で点滴をすることに。ペットの老いと向き合う家族の心の葛藤や、お金、時間、労力などの問題をリアルに描き、生き物を飼う喜びと責任について考えさせられます。
『北加伊道―松浦武四郎のエゾ地探検』
関屋 敏隆 文・型染版画(ポプラ社)
松浦武四郎は、江戸時代末期の1845年から58年までの間、6度にわたり、北の大地、蝦夷地をくまなく探検調査し、自然と人々の暮らしを詳細に記録し、多くの日誌や地図を出版してアイヌ文化を伝えました。明治2年の1869年には、蝦夷地の名前が武四郎の提案した「北加伊道(ほっかいどう)」に決まりました。「加伊」とはこの国に生まれた者、アイヌ民族の人々のことです。「北海道の名付け親」と呼ばれる武四郎の命がけの探検をたどり、漁や狩り、「衣服・食事・住居」の様子を力強く版画で表現しています。伝説、地名の由来なども分かり、北海道の歴史に興味が湧く絵本です。