まちの図書館化をめざして-21世紀広島市図書館計画の提言-
3 施策展開の考え方
3-1 基本テーマ
まちの図書館化
-まち全体が図書館機能を発揮できる仕組みをつくる-
市民アンケート調査などを踏まえた現状と課題の分析から、広島市の図書館では 、市民活動により密着したサービスの展開が求められていることが明らかとなったが、現在の施設配置やサービス体制では対応に限界がある。こうした状況の中で、今後、施策を展開していくためには、これまでのように、単に「まち」に図書館を配置してサービスを提供するという考え方だけでなく、「まち」がもつ様々な機能を図書館が利用して、まち全体が図書館としての機能を発揮するような仕組みをつくりあげていくという発想を取り入れていく必要がある。「まち」のいたるところで「図書館」と出会う。それにより、市民の誰もが日常的に図書館とふれあい、いつでも、どこでも図書館サービスを活用することができるように図書館機能を整えていく。また、図書館で対応できないものについては、専門機関につないでいくなど、さまざまな機関との連携を図り、市民が本や情報を入手する手助けを行っていく。さらには、市民がまちで行う活動に図書館も参加し、逆に図書館の活動に市民が参加する。
まちの図書館化の図
具体的には、例えば、公民館などの他の施設を活用して図書館の本のやりとりができるようにするとか、コンビニなどの民間施設を活用して本の受け渡しができるようにするとか、インターネットを活用して自宅や携帯電話から本の検索や予約などができるようにするとか、バスセンターや駅などで本の返却ができるようにするとか、公民館の活動に図書館が協力するとか、図書館運営に市民の協力を得ていくなど、まちにある施設、サービス、技術、人を最大限に活用した施策展開を目指していく。
3-2 基本的方向
(1) ワクワク図書館
市民の活動や生活様式や価値観は多種多様であり、資料や情報に対するニーズも多様化・高度化してきている。そのような市民が本や資料との出会いを喜び楽しめるような豊かな蔵書及び情報が求められている。それらの資料や情報が広島の個性となり市民のアイデンティティとなるためには、これを活用した新たな情報の創造・発信や、次の世代に確実につないでいくためのしっかりとした保存・管理体制が必要である。誰もが、ワクワクするような本や資料と出会える図書館にする。
(2) ラクラク図書館
図書館利用者は、子ども、学生、主婦、就業者、就職活動者、研究者、技術者、さらには、高齢者や障害者、外国人などさまざまである。誰もが気軽に図書館サービスを受けることができるよう、職員の専門的知識やITなどを活用して、サービスの高度化、高速化、多様化を図っていく必要がある。さまざまな利用者がラクラクと資料や情報を探し、サービスを受けられる環境を整備する。
(3) ニコニコ図書館
図書館は、単に本を借りたり必要な情報を探したりする場だけではなく、本に囲まれた空間でくつろぎ、また、本や資料を仲立ちにして人とふれ合い、交流する場でもあり、本と人、人と人が出会う場としての役割が求められている。利用者が身近でニコニコと楽しく本や人とふれあえる場を整備する。
(4) イキイキ図書館
市民の活動を図書館が支え、図書館の活動を市民が支える。それぞれが役割を果たしながら、適度な距離と緊張感をもって活動し、イキイキとした図書館運営をめざす。図書館が多くの市民に利用され、真に市民にとって役立ち、また安らぎの場となるためには、その運営に市民が参画するとともに、市民の視点で評価できることが必要である。 市民と図書館がともにイキイキと支えあういい関係をつくる。
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