第1回21世紀広島市図書館計画検討委員会議事録
1 日時 平成14年5月30日木曜日 午後1時30分〜3時40分(会議) 午後3時40分〜4時40分(視察)
2 場所 広島市立中央図書館3階セミナー室
3 出席委員 委員長 田村俊作 副委員長 柴田幸子
委員 岡原重則 久保田貴美子 熊本裕子 小池源吾 中村隆行 前田香織 山田宏美
4欠席委員 委員 田中聰司
5 事務局 松浦教育長 中央図書館長 こども図書館長 中央図書館管理課長
中央図書館事業課長 外5名
6 内容 1 広島市の現状説明
2 今後の委員会のすすめ方
3 視察(南区図書館、竹屋公民館)
7 公開・非公開の別 公開
8 傍聴人の人数 0人
9 会議資料名 広島市の現状説明資料
1 広島市総合計画抜粋(第4次広島市基本計画 第5章、第7章)
2 広島市の図書館(要覧)2001(平成13)年度
広島市の図書館(要覧)2002(平成14)年度抜粋
3 広島市公民館位置図・広島市公民館一覧表
4 平成14年度統計資料(広島市立中央図書館・平成14年5月作成)
5 政令指定都市立図書館におけるコンピュータ・システムの状況
6 電子図書館の構築(「広島市情報化基本計画 2000年3月」抜粋)
7 図書館に関するアンケート調査(市民アンケート・来館者アンケート)
1 委員の委嘱・任命、教育長あいさつが行われた。
2 各委員より自己紹介と図書館に対する意見や当委員会委員としての抱負が述べられた。
(委員) 市民として家族でよく図書館を利用している。大学図書館に勤務していた間、ずいぶん利用者から学んだこともあり、まだまだいろいろとやってみたいと思っていたところへ、このような機会を得られ、少しでも市民のみなさんにとって役に立てるようがんばりたい。
(委員) 子どもたちに本の楽しみを与えていくことが、私ども子どもたちの周りにいる大人の役割だと思っている。そして、本あるいは情報を活用して新しい学びや生きていく力を教えていきたいと勉強している。この会をよい意見交換の場としていきたい。
(委員) 私が利用していきたいと思えるような図書館にできるよう、いろいろな話をさせていただきたい。
(委員) 専門は生涯学習あるいは、社会教育である。大学開放や成人の学習理論等を研究しているが、そのようなことを通して何か図書館への力となればと思っている。
(委員) こども図書館と中央図書館にかかわってきたが、この30年の間にずいぶん曲がり角だなあと思う時があった。その時代の流れもあり、いろいろな事がその中で決められてきたが、後から考えると非常に大事な決定であったと感じている。今は過渡期であるし、いろいろな意味でこれからを決定していく上で私たちの責任が重大であると感じている。みなさんとともに、是非良い図書館にしたいと思う。
(委員) 図書館情報学の中で、主に利用者や利用者サービスについて研究している。
館長さんは、公共図書館の世界ではリーダーの一人であり、その方がどのように腕を振るわれるのかたいへん興味もあり、また私にとってもよい機会であったので、どれ程のことができるかわからないが、よろしくお願いしたい。明があったが、どのようにして数えているのか、この統計の貸出冊数の中に加えているのか。
(委員) 図書館とNPOの関係ということになると、すでに高知県では図書館や美術館等とかかわってきている。図書館運営の中にボランティアや市民がどうかかわっていくか、市民参加の図書館運営ということも、行政と市民との協働ということで考えていけたらと思っている。
(委員) 専門は、コンピュータ・ネットワークというか、いわゆるインターネットといわれる分野である。これからは、情報化・IT化ということで図書館でも道具としてITを使うこととなる。また、ネットワークというのは、図書館と市民をつなぐだけではなく、学校のネットワークや自治体のネットワーク等があり、そういうものも含めて、これからの図書館の姿、将来像を描く必要がある。
(委員) 市民として図書館を使っている。ゆとりの教育になって子どもたちが身近に本を置いて、読書ができる環境がつくれたらよいと思っている。
3 事務局より、当委員会の公開についての説明が行われた。
4 委員の互選により、田村委員が委員長に、柴田委員が副委員長に選ばれた。
5 事務局より、広島市の現状説明が資料(広島市の現状説明資料)に沿って行われ、それに対して各委員から質問・意見が出された。
(委員) 新しいコンピュータ・システムについて説明があったが、それについてもう少し詳しく説明していただきたい。
(事務局) 新システムで説明すると、これから基本設計に入る。イメージとしては、先程の「広島市情報化基本計画」による電子図書館にのっているものであるが、インターネット系以外に現在の古いタイプの書誌データそのものをやりかえ新しくし、いろいろなことから検索できるようなたくさんの情報が入ったデータベースを構築したい。また、今はOCRという数字で読み取っているが、これをバーコードで読み取るよう変えたい。業務の方では、できれば手書き処理で行っている受入や発注業務を最初の注文からコンピュータに入力して業務の省力化も考えている。それ以外にインターネットによる自宅からの蔵書検索、図書の予約、そして24時間対応ということにかわってくるので、当委員会でも議論していただくことになるが、予約がインターネットでできるようになれば、物流をどのように確保するかということになってくる。アーカイブについては、広島固有の原爆関係や郷土資料は、できるだけ絵として世界に発信できるような形のものがよいと考えている。
(委員) 先程、広島の都市づくりについて説明があったが、多心型都市づくりにおいて図書館サービスの上で広島市として課題と考えているところがあれば説明願いたい。
(事務局) 地域拠点でいうと高陽地区がある。安佐北区という区は面積がたいへん広く図書館が近くにないという点では、高陽地区が空白区域となっている。また、広域拠点である西風新都、西部商工センター、宇品・出島、広島インターチェンジ周辺地区についても、現在の図書館サービス網との関係でみるとサービスが手薄になっているのではないかと考えている。
(委員) 対面朗読は、年間どれくらいの人が利用しているのか。
(事務局) 統計に出ている人数は、延べ人数であり、利用者自体は、1〜2人である。
(委員) これは、実際には対面でなくてもビデオオンデマンド等により、ネットワークが組めるのではないか。
6 今後の委員会のすすめ方について
(委員長) 21世紀の広島市の図書館ということで考えていることや、これからの委員会のすすめ方について話していただきたい。
(委員) 図書館の電子化が騒がれて久しい。一方でバラ色のような電子図書館に対するあこがれのようなものはあるけれども、一方でバージョンアップに対して追いつけていない状況が生じているような気がしてならない。電子図書館構想といったものは、当然やっていかなければならないが、実際の紙媒体や資料をどう提供していくか、そのためには広島市一市だけの財政的な状況ではなかなかむずかしい現状もあると思う。そのような中で地域とどうタイアップしていけるか、とりわけ広島市内の大学図書館、各学部の構成によって専門的に集めている資料もずいぶんあると思うので、そういったものを公共図書館の方が橋渡しすれば、新たな連携ができるのではないか。大学図書館がいかに行政の側に対して協力できるか、最終的には広島市と大学の連携が現実味を帯びていけばと思っている。
(委員) 学校では総合的な学習が入ってきた。そしていろいろな課題をかかえて、自分たちで課題別に解決していく調べ学習は、情報、特にインターネットを使ったり、図書館の図書を使ったりする訳だが、それに耐え得るような学校図書館ではない。ということになれば、公共図書館あるいは、公民館とタイアップして、今も地の利がいいところであれば、直接、子どもたちが出向いて行くこともある。電子図書館の構築のところに学校図書館もつないであるが、これが可能になればロスもなく検索をして図書館の利用ができ調べ学習ができるのではないかと、学校では熱い思いを持っている。今年度、来年度と広島市の学校では、学校LANを整備しており、これが広島市の図書館あるいは博物館、歴史館とLANで結ばれたらどれだけありがたいかと思っている。既に、学校によれば学校LANでバーコードで貸出ができるよう、それから本校のようにデータベース化をしているところもある。15年度からは学校図書館司書の配置、また、本年度広島市でいえば、雇用促進の対象として図書館事務サポートの人たちが週に2時間ずつついているが、本が少ない、情報が得られないという状況の中で、ぜひ公立図書館と学校とのLANを1日も早く結んでいただき、活用できるようなシステムを作っていただきたいと思っている。
(委員) 利用者が減少しているとか、まだ図書館を利用していない人が広島市にはたくさんいるということに注目して、図書館が本を貸出すだけではなく、図書館へ行けば、本だけではなく何かほかのものが利用できるというか、心にゆとりが生まれるとか、時間的にここにいてゆとりを持って、では次の仕事に行こうというそういう空間が持てるような図書館になれば、もっと利用者がふえ、人が足を運んでくれやすい場所になるのではないかと思うので、そういう面を考えていけたらよいと思う。
(委員) この委員会そしてわれわれ委員に課せられた役割をもう少し明確にしていただければありがたい。資料を拝見して広島市の基本計画で図書館に関連することをおおむね紹介していただいた。結局、課題は見えている訳で、中央図書館の機能強化・専門化、他の図書館とのネットワーク化、生涯学習関連機関との有機的な連携や情報化への対応であり、いくつか課題が見えている。その基本計画を受けてわれわれはどうすればよいかという具体化を図るわけであるから、もう既に見えていることを考えるには期間も回数もない。既に図書館サイドである程度のデザインがあるのであれば、それを出していただいて是非を論じるなり、あるいは、なければこれについてやり方を提示してほしいという要請をいただければ、この会で受けることもできる。あるいは、調査を行なうといった時にいろいろな市民の図書館への期待も違うだろうと思う。何かこれから図書館について意見を出してほしいというのではなく、もっと具体的に意見を出してほしいといった方が充実した会になるのではないかと思う。
(事務局) 確かに限られた時間の中で一からというのは、たいへんなことだと思う。先程、次回のテーマを説明させていただいた。委員のみなさんにご議論いただくことについては、実際に図書館運営にあたっている立場からも考えはあるが、我々の一人よがりになるのではなく、委員の先生方、アンケートによる市民のご意見を踏まえて、その中でそれが正しいかどうか確認していきたいと思っているが、もし次回議論のために必要であれば、事務局内部で議論したものをたたき台として出したい。
(委員) ハード面で情報化の問題や効率化の問題がある。ソフトの部分では、シニアやリタイア組と学校5日制になった子どもたちの両方を結び付け、図書館がそういう拠点として活用されるべきだとNPO側としては、図書館のあるべき一つの姿として提案していきたい。例えば、土・日曜に子どもたちが図書館に来て対面朗読や読み聞かせのお手伝いをするなど。今までソフトの部分はあまり明確な施策が見えてこなかったので、それを少し具体化できたら目指す形のビジュアル化ができるのではないか。ビジュアル化して、市民に形として見えれば、図書館に市民が足を向けて、図書館をいっしょに作っていこうという市民参加になるのではないかと考えている。
(委員) 電子図書館で今持っている問題がすべて解決できるとは思っていない。利便性をあげるための道具として使えるところは十分に活用するが、本来図書館が持つ、先程も雰囲気のようなものが必要と言っておられたが、そういうものは残していく必要があると思う。特に、70年の歴史があるわけだから、それがずっと持ってきたものは大事に、かつ、いろいろ省力化や合理化など使えるところで電子的に使っていく、その棲み分けをうまくしていく必要があると思う。
(委員) 週休2日制に伴って、テレビやビデオを見ている子どもたちが多くなり、大人たちもどんどん活字離れをしている中で、図書館に行っても読みたい本がなければ、市民は図書館に行かなくなると思う。インターネットを使って予約ができ、図書館に行ったときにその本が用意されている状況を作れば、どんどん市民が利用して良い図書館になっていくのではないかと思う。
(委員) 今後のすすめ方だが、資料を事前にお送りいただいて、ある程度勉強というか、予備知識を持って、この検討委員会に臨むというのが大事だと思う。また、先程、図書館でたたき台というか資料をという話であったが、前に図書館協議会で「ライブラリー21プラン」というのを作っているが、あれがかなり参考資料になると思うので、委員の方にそれを見ていただくというのはいかがか。図書館で今までされてきたいろいろなことが、よくわかると思う。例えば、先程の対面朗読なども、利用する人によって将棋の本や聖書であったりとずいぶん違い、むずかしい面もある。こども図書館の活動についても、ここではあまり出ていなかったが、だいたい土・日曜に読み聞かせがあり、ボランティアの人も参加している。そういう図書館で今されている活動について、もう少しみなさんがいろいろな知識をもたれないと提言することもむずかしいと思う。
(委員長) 「ライブラリー21プラン」というこの資料は図書館協議会の方で作成された、答申か提言ですか。
(事務局) 正式の答申とか提言という形ではないが、学習の成果をまとめたという形になっている。今までの図書館の歩みや活動の実態を理解していただくには、役に立つと思うので、次回までに準備します。課題と提言の部分については、これから改めて議論していただく必要があると思うが、今までの経過・活動状況ということでは参考になると思っている。
(委員長) 今回の委員会では、こういうものも参考にしながらということですね。
(事務局) 参考という形でご覧いただきたい。
(委員) 中央図書館や他のところを見学し、データなどを見て、やはりこの図書館なりに課題はいろいろあるという気がした。ひとつは基盤整備ということです。やはり、基盤整備の部分でまだやることはあるのではないかという印象をかなり強く持っている。利用は、もっと大勢の人に利用されていいはずだし、もちろん利用するしないは個人の自由であるが、そのように考えてももう少し利用されてもいいと思う。それから施設面だが、かなり制約があるという印象を持った。また、他の委員からも出ていたが、やはり図書館全体が地域や市に対してどういう貢献をしているのか、どのような場になっているのかということをはっきり出すようなことが求められているというのは、広島市だけの問題ではないが、非常に強く思う。
(委員長) 他に今後のすすめ方について意見がなければ、これからの図書館としての将来計画、基本計画を立てていく時の基本となる構想を出す上で、その元となる何か図書館なりの考えがあれば、材料として出していただきたい。また、それだけではなく、委員の意見の中にもでていたが、子どもとのかかわり、学校とのかかわり、それとあまり出ていなかったが、ビジネスとのかかわりもある。その他電子図書館の話というのは、読書の部分と一方で競合する部分ともう一方でそれを活用して図書館サービスが飛躍する部分と両方あると思うが、その辺りもいろいろ意見をいただけそうなので、今日の委員の意見をまとめていただきたい。また、図書館協議会での考え、図書館で考えていることを次回の議論の材料として、できれば事前にいただきたい。2回目については、21世紀の図書館、大きなグランドデザインというか、図書館がそもそもどうすべきかということを中心に議論をすすめることにしたい。
(委員) ひとつ質問がある。この提言をとりまとめてどのように活用されるか、それによって出し方も違うと思う。例えば良い図書館づくりというと、人も金もだが、金の部分を行政にぶつけられるのかどうか。この提言をどのように活用して市民と行政に持っていくのか、その辺りがはっきりしない。
(事務局) 先程も少し説明したが、段取りとしては、行政計画、総合計画の中の5ヵ年計画である実施計画に位置付けると市の重点事業ということで予算も付きやすくなる。こういった実施計画、市の行政計画にのせた上で各年度の予算折衝をしていきたい。
(委員長) 最後は、教育長に提出するのか。
(事務局) 提言自体は教育長にいただき、それを踏まえて実施計画へどう盛り込んでいくかは、我々の方でやっていくことになる。
(委員長) 市の基本構想は、特に念頭に置かなくてもいいのか。
(事務局) 確かに基本構想もあるが、今回21世紀という話でかなり長期的に取り組む部分も出てくると思う。その部分については、次の基本計画の改訂などに盛り込んでいくなどの努力をしていきたい。
(委員長) では、一応、基本構想は意識はするが、参考にということにしたい。
(事務局) あくまで参考にして、新しいサービスなど少し踏み込んだものをお願いしたい。
(委員長) むしろ将来の構想に盛り込んでいけるようなものでどうか。
(事務局) そういう視点でやっていただければありがたい。事務局の方でも参考ということであれば、材料を出していきたい。
(委員) 例えば、あまり引っ張られるとかえって困るが、これから2回大きな討議の機会があるので、その時にこれについて掘り下げて検討してほしいものを提示していただければ、より良いものがお互いにできてくると思う。
(委員長) それでは、2回目は、今日の話や図書館の方で足していただいたようなもので議論の材料を出していただくこと、図書館協議会の資料を出していただくことで、それらを元に21世紀の図書館の役割について議論するということでよろしいか。それから、小委員会については、事務局や副委員長と諮り3回目のところで提案したいと思う。会議の時間については、回数があまりないので、最初に2時から4時で案内があったが、今日のように午後1半から4時半の3時間でやらせていただければと思うが、よろしいか。
(委員) (異議なし)
(委員長) それでは、委員会の方はこれで終わります。
以上で会議は終了
7 南区図書館・竹屋公民館視察
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