畑耕一翻訳 M・R・ジェイムズ怪談集
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いらみ中には、あきらかに煙で窒息したこうした動物の残骸が、まだ二つ三つあった。そしてもっと奇妙なことには、この巣の一方の壁に、人間の木乃伊とも骸骨ともいっていいものが、うずくまっていた。皮膚はひからびて骨にくっつき、すこしばかり黒い髪の毛が残っていた。―この髪の毛で調べたところによると、それは女の屍体に疑いないということが認定された。しかも、たしかに、五十年間ここに埋れていたということも!』『われわれは、樹の下に、地中に一つのまるい穴があるのを発見した。』と、後にキルモアの主教は言った。『その― 26 ―

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