畑耕一翻訳 M・R・ジェイムズ怪談集
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・・ ラステ・・・・かたィート時日駐在するのだった。は、西の部屋の窓を指ざして言った。ませんよ。』るからですよ。あのあなたの寝室の窓からは、二ヤードとはなれていないところに、すばらしいと・ねりこ・の樹が茂っているではありませんか。おそらく―』と、主教は微笑しながらことばをつづけて、『あの樹はもう既に、あなたにその威力の一端をあらわしていますな。というのは、忌憚のないところ、あなたは夜の御休息がよくとれているようには見えませんからな。』が、あの樹は明日切り倒しましよう。そうすればわたしは、あの樹のことで、もうなにも聞かなくてもすむわけです。』 的ではないようです。』きっと枝が窓をはたいたのでしようが―それで、目はさめ通しでした。』のでなかったら、窓扉にさわれませんよ。しかも昨夜はまるで風はなかったです。枝は呎フはなれても、ガラスにはあ主教とリチャード卿は台地をあるきながら、この館やの模様替えや改築について、いろいろ語り合っていたが、主教『リチャード卿、あなたは、あの部屋へは、わたしの受持つアイルランドの教徒を、一人だって泊とめることはでき『それはどういうわけです?あの部屋は、実はわたしの部屋なのですが。』『それはね、アイルランドの農民は、むかしから、とねりこの樹のそばで眠ることを、最も縁喜がわるいとしてい『まったく、そのためかほかのわけかわかりませんが、わたしは夜十二時から朝四時までしか眠れないのです。だ『その御決心には大賛成です。あの樹はあんなに葉が生おいふさがっているため、空気の呼吸が困難で、どうも衛生『仰有る通りだと思います。だが昨夜は窓を開けなかったのです。あの窓はなんだかガタガタ鳴りつづけたので―『そんなことはあり得ないと思いますな。ここ―ここから窓をごらんなさい。一番ちかい枝だって、大風が吹いた― 22 ―

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