畑耕一翻訳 M・R・ジェイムズ怪談集
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ゃっ り フェァリ・クイーンぐみ 私は、この捕えらるべき要点を、ほとんど考えつかなかった。が、梟は鋭く言った。『なんですって?まあ、もう言わないでください。聞きましたよ。だから、わたしはそのしん底になにがあるか、お話ししましょう。よくわたしの言葉に気をつけるんですよ。』―梟は、私のほうへ身をかがめ、まるいあたまを幾度かうなずかせながら、ささやいた。『傲然として!知らん顔でいるんですよ!それだけでいいんですよ!われわれの仙い軽蔑の調子がこもっていた)に、近かづいちゃいけない。おう、決して近かづいちゃ!あいつ等の同類に、好感はもてない。野や畑のすばらしい歌い手に、ぼんやりする時こそ、注意すべき時ですよ。今が、そうじゃなかったですか?』 『うむ。』と、私はひどく腑に落ちない顔で、『おれはいろんなことを聞きたいよ。だが、ね。ここには鶫つだとか夜鶯だとかいったものが、たくさんいるらしい話だ。お前はそのことを知ってるはずだが、どうだね?だとすれば、たぶん―無論おれは知らないんだが―たぶん、お前の歌い方は、そんな連中の踊にぴったりしないのじゃないかね?え?』 『いや、それはまっぴらでさあ。』と、梟は、反り返えって答えた。『わし達仲間の歌い方は、踊に合うようなもんじゃない。なににだって合うようなもんじゃない。ええ、あなたがなにをお考えなさろうとね!』だんだん、怒りっぽい調子になって、『わたしから言えば、あいつらの吃し逆くに合わせるにゃ、もって来いですよ。』―梟は、ちょっと言葉を切り、ぐるりや上下を、用心深く見まわした。そして、またもっと高い声でつづけた。『あいつら―あのちいさな紳士淑女諸君の吃逆にね。もしそれがあいつ等のお気に召さなきゃあ、わたしのお気にも召しませんよ。で(と、また怒りっぽい調子で)、もしあいつ等が、踊ったり、馬鹿をつづけたりすることに、わたしが文句をいわないと思ってるなら、大まちがいでさあ。わたしは、あいつ等に、そう言ってやりまさあ。』 これは軽率なことをいうと、私は心配したのだが、そこに起った事から見て、私の考えはまちがわなかった。梟が女さん(この言葉には、はげし― 140 ―

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